「怒りっぽい性格ではないのにイライラして怒りっぽくなってしまった」「社交的な性格なのに誰とも接したくない、1人でいたい憂鬱な気分になったり」更年期には様々な心の変化が起こります。
これは一時的なものです。ホルモンバランスの乱れによって感情をコントロールしている神経が誤作動を起こしているだけです。そのため、無理に何かをして改善する必要もありません。
精神的におかしくなったのかと神経質に考えてしまうと、より更年期障害を重くしたり、本格的なうつになったりすることも考えられます。
そこで、この記事では更年期のイライラ、抑うつを上手くつきあうために、日常生活の対応方法や考え方を紹介していきます。
目次
イライラの原因はホルモンの乱れ
カッとなってイライラしたり、気分が沈んで抑うつっぽくなる原因は更年期によるホルモンバランスの乱れです。女性ホルモンの分泌は脳の視床下部がコントロールしています。
視床下部から性腺刺激ホルモンが分泌され、「女性ホルモンを出しなさい」と命令します。この指令を受けて卵巣はエストロゲンなどの女性ホルモンを分泌します。
ところが、更年期になると卵巣機能が衰え、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌が減少します。
視床下部から女性ホルモンを出すように指令がでても、どんどん体内のホルモンは減っていきます。閉経後には卵巣からの女性ホルモンの分泌はほとんどありません。
このため、視床下部から性腺刺激ホルモンを大量に分泌し、卵巣に対してエストロゲンの分泌を促し続けます。この結果、女性ホルモンは減少し、性腺刺激ホルモンは増加するという、ホルモン環境のアンバランスをきたします。
脳の視床下部には、ホルモンをコントロールする中枢のほかにも、自律神経の働きをコントロールする中枢と喜怒哀楽をコントロールする中枢が集まっています。
ホルモンをコントロールする中枢に乱れが応じると、その影響を受けて自律神経をコントロールする中枢や感情をコントロールする中枢も乱れてしまいます。
エストロゲンなどの女性ホルモンの減少と、それに伴う自律神経や感情をコントールする中枢の乱れ、この2つによって理由もなくイライラする、些細なことで腹が立つなど怒りっぽくなったりするときもあれば、落ち込みやすくなって、抑うつぽくなったりしやすくなります。
セロトニンを増やす
朝の太陽を浴びることで、イライラが解消されやすくなります。光を浴びるとセロトニンの分泌量が上がります。セロトニンは体内で分泌されるもので、幸福ホルモンと呼ばれています。
その働きには不安やイライラを抑え、感情を暴走にブレーキをかけます。つまり精神状態を安定を保ってくれるものです。
セロトニンは脳の覚醒を促すものなので、活動している昼間に分泌されやすく、夜には分泌が少なくなります。そのため、朝の光を浴びることが重要です。
日光を浴びる時間は30程度で十分です。
セロトニンは運動で補う
運動には気持ちを上向きし、うつを改善する働きがあることがわかっており、セロトニンも効率よく摂り入れることができます。
セロトニンは一定のリズムを刻む運動をすることで、より活性化されます。例えば、スクワット、階段の昇り降り、自転車、ウォーキング、水泳などが上げられます。
なかでも、ウォーキングは最も簡単な運動です。朝に歩く習慣をつけることで、セロトニンを増やすこともできますし、体内時計をリセットすることができるので、更年期の睡眠障害にも効果的です。
また、セロトニンはトリプトファンという物質から作られます。この成分は体内で作ることができないので、食事から摂る必要があります。主に魚や肉、大豆、緑黄色野菜に含まれいますが、限定した食べ物に含まれているわけではないので、バランスのよい食生活をしていれば、不足することはありません。
豆知識
マグネシウムが不足するとイライラしやすくなり、イライラすることで消費される。海藻やアーモンドなどのナッツ類、チョコレートなどにも含まれています。
アロマで精神不安を緩和
感情的になったり、気分が落ち込んだりするときは、アロマの香りをかぐことでリラックスすることができます。
鼻から香りをかぐと、薬効情報は鼻腔(びくう)の粘膜から鼻の奥にある臭覚器官へと送られ、そこから神経を通じて脳の視床下部や辺縁部へ送られます。
アロマの効果は更年期医療の現場でも実証されており、患者が自宅でアロマを使って更年期障害が緩和したデータもでているようです。
更年期障害には多汗、めまい、ほてりなど身体的症状とイライラ、気分の沈み、やる気などの心の症状とがあります。
アロマはどちらの症状にも効果がありますが、身体的症状より心の症状の方が効果を発揮します。香りで気分がリラックスでき、落ち着かせる効果があるからです。
精神不安に効果的なアロマをこちらになります。
イライラ(すぐにカッとなってしまい落ち着きがないとき)
イランイラン・ラベンダー・プチグレンビガラー・サンダルウッドをブレンド
無気力(朝起きても布団から出たくない、だるくて体を動かしたくないとき)
シダーウッド・ベルガモット・ラベンダー・ジュニパーベリーをブレンド
落ち込み(なんとなく哀しくて元気が出ない、うつ気分のとき)
クラリセージ、マージョマル、バジルを適量。オレンジ、レモン、タンジェリン
症状に合わせたアロマを選ぶのもいいのですが、効果あるからといって好きでもない香りを無理して使うことはオススメできません。
苦手な香りをかぐことで、余計にストレスがたまり、イライラの原因にもなりかねないからです。アロマを選ぶ基本として、自分の好きな香りを選ぶことです。ブレンドなどしてオリジナルのアロマを作るのもよいでしょう。
使い方は自由です。
アロマキャンドルを使ってもよし
バスタブに精油を数滴たらしてもよし
枕カバーやハンカチ、マスクに吹きかけてもよし
ティッシュにアロマをふきかけてかぐのもよし
ストレスを感じたりしやすい更年期にはアロマの力を借りて、心と身体を癒してあげてください。
深呼吸とイライラ
イライラや気分の落ち込みで悩むと、自分は性格が悪い、心が弱いと考えると、余計に気分が苦しくなります。
「これはホルモンバランスが崩れているから起こるものだから私にはどうすることもできない」と思うことができれば、「波が落ち着くまでの待とう」と冷静になれます。
また、カッとなって感情が爆発しそうになったら、深呼吸しましょう。ゆっくりとした呼吸は脳の緊張をほぐし、心を落ちつかせる働きがあります。
目を閉じて深く大きく深呼吸を繰り返します。少し間を置くことで、爆発するエネルギーやヒステリックを抑えることができます。
私たちは無意識で呼吸をしており、知らず知らずの間に呼吸が浅くなる傾向あります。浅い呼吸が続いてしまうと、気持ちが落ち着かなかったり、身体がつかれやすくなりったりと、心身に負担ををかけます。日常から呼吸を意識しておくことで、少しでもイライラが軽減されるようになります。
感情が抑えられたら余計な一言をいってしまうこともありません。自分も周囲の人も傷つかずにすみます。
ストレスをこまめに発散
感情の起伏が激しくなってしまっても、いきなり大爆発することはないはず。小さなストレスがどんどん蓄積されてやがて、大きなストレスとなり大爆発を起こしてしまうのです。
大爆発を起こさないためにも、なるべく小さなストレスのうちにガス抜きをして大爆発を防ぎます。そのために、自分だけのストレス解消法を持っておく必要があります。
・カラオケで大声で叫ぶ
・何かを思いっきり投げつける
・身体を動かす
・アロマをかぐ
・友達に愚痴る
・好き映画を見て笑う、泣く
などなど、自分なりの発散方法でストレスを解消します。
食べることでもストレスを発散することができるので、たまにはいいでしょう。しかし毎度食べ過ぎてしまうと、コレストロールがあがり、更年期女性に多い糖尿病などの病気を招きかねないので注意が必要です。
更年期は再スタートの時期
更年期世代というと、子供の独立、夫の仕事事情、身内の介護、友人や職場仲間など様々な人間関係の節目にあたる時期です。
ふく気付くとまわりが離れていって自分が1人取り残されたよな気がして、寂しさや孤独感をつのらせてしまいます。
こうした変化は更年期の時期に多かれ少なかれ起こります。若い頃からの人間関係や環境がずっと続くということはなく、どこかで変わっていくのではないでしょうか。
今は切り替えの時期だとはっきり意識してみましょう。
切り替えということは、新しいつながりを見つけるということです。今まで子育てや仕事に費やしてきた時間を使って、また新しい関係を作りましょう。
今度は自分のために時間を使うのもいいでしょうし、パートナーとの時間を取り戻す工夫するのもいいです。
また一度、子育てや仕事に忙殺されて、できなかったことが1つや2つあるはずです。それにもう一度挑戦したり、やり直してみるものいいでしょう。
最後に
閉経の前後5年くらいを更年期と呼んでいます。全ての人が更年期の10年間悩むわけではありません。
ホルモンの変調に身体が慣れてしまえば、自然と体調も安定していきます。個人差はあるものの平均して3〜4年で症状が軽くなる方が多い言われています。
つまり、更年期のイライラや気分の落ち込みも一時的なものといえます。ただストレスや悩みなどがあると、更年期障害が長引いてしまうので、ここで紹介した対策で乗り越えて下さい。
今、更年期と少しでも上手くの乗り越えるエクオールというものが注目されています。エクオールは大豆イソフラボンが腸内で変換されるもので、より高いイソフラボン効果があります。サプリとしても販売されているので、イライラ対策のサプリとして摂ることもオススメです。